2017年 サンジチャーinゆかるひ  連続エイサー講座

 場所:Book&Caféゆかるひ 那覇市久茂地3-4-10 YAKAビル3F 

期間・時間:2017年5月20日~6月17日・午後3時~5時 


 第1回(2017年5月20日) 「道々の輩(ともがら)――チョンダラー」  

エイサーの祖形はチョンダラー(京太郎)たちの伝えた似せ念仏(若衆念仏)だった。チョンダラーたちは、中世日本から渡来した、念仏と人形劇を生業にした道々の輩だった。彼らは念仏を唱えるときはニンブチャー(念仏者)と呼ばれ、人形劇を演じるときはチョンダラーと呼ばれた。  

動画観賞:八重瀬町安里の古形のエイサー、平敷屋エイサー東組のナカワチ(道化役)による余興「チョンダラー」 


 第2回(2017年5月27日) 「モーアシビからエイサーへ」

 明治・大正期の風俗改良運動によってモーアシビが取り締まりの対象となる。同時期に位牌祭祀が本格的な民衆化を始め、祖先供養芸能の需要が高まっていく。社会の公的な場から追放されたモーアシビの青年男女は、似せ念仏のなかにモーアシビの要素を盛り込み、エイサーという新しい芸能を誕生させていく。

 動画観賞:本部町瀬底のエイサー、名護市城のエイサー、読谷村楚辺のエイサー(締太鼓を使っているがモーアシビが中心になっている)


 第3回(2017年6月3日) 「復帰運動が産んだ締太鼓型エイサー」 

1960年代、米軍基地の撤廃を目指した「祖国復帰運動」は日本政府によって裏切られ、祖国日本に対する憧憬は急速に薄れていく。この挫折のなかで祖国日本に代わる沖縄のナショナルイメージが求められ、そのナショナルイメージに応えたのが締太鼓型エイサーだった。締太鼓型エイサーのスタイルの確立によって、エイサーはシマの芸能から、沖縄アイデンティティを表現する芸能に変貌を遂げる。 

 動画観賞:沖縄市園田・久保田・山里・諸見里などのエイサー


 第4回(2017年6月10日) 「神話劇としてのパーランクーエイサー」 

モーアシビの文化が近代的な雑踊(ぞうおどり)の洗練と出会ったとき、近代的な文化は、神話劇として構築されることになる。モーアシビのストレートな恋心は忍ぶ恋に変換され、忍ぶ恋に秘められた激情は、道化の荒々しい舞いとパーランクー叩きの禁欲的な舞いに変換される。そこに動と静とのコントラストが生まれ、エイサーは演劇的な構成をもつようになる。演じる青年たちは来訪神の化身なので、その演劇性は神々の演じる神話劇となっていく。

 動画観賞:うるま市屋慶名と平敷屋のエイサー


 講師プロフィール(4回) 具志堅 要プロフィール:1952年生まれ、中央大学文学部卒業。元地方公務員。2017年からBOOK CAFE&HALL ゆかるひにおいてポスト・モダンな講座を展開。ブログ「ぷかぷか」主宰。

 企画・進行 具志堅邦子プロフィール:1954年生まれ、沖縄国際大学・看護専門学校の非正規雇用の教師。専門は家族社会学・沖縄研究・フェミニズム。


 第5回(2017年6月17日) 「青年会エイサーの現状と課題」  

エイサーは近代沖縄のシマ社会が時代の激動のなかで産み出した芸能だ。それは現代に再構築されたモーアシビであり、モーアシビのもつ神話的時空を現代に再現させる芸能だ。そこにはシマ社会の美学が表現されている。それと同時に、エイサーはシマの住民自治を支えるものとなっている。行政や学校、警察のコントロールによるのではなく、青年たちによってシマの自治が保たれているのだ。青年会のエイサーは、沖縄社会にとっての無限の宝であるともいえるが、多くの課題をもつ現状にもある。語り合いのなかで、青年会エイサーの現状と課題を共有したい。


 ゲストスピーカー 

上間哲朗プロフィール:1983年生まれ。趣味、釣り。今帰仁村仲宗根出身、前仲宗根青年会会長。沖縄海洋博記念公園管理財団(現:美ら島財団)海獣課へ就職、同時に地域の活動に注力する。現在、地域と学校を繋ぐコーディネーター(認定キャリアコーディネーター)として活躍。仲宗根の手踊り型エイサー(モーアシビ・エイサー)に片道90㎞ある糸満市大里青年会に通い、大里青年会のパーランクー型エイサーを2010年に追加した。2017年、子どもが創るエイサーまつりをプロデュースした。 

司会・進行 

宜野座匠プロフィール:1981年生まれ。趣味、写真・DIY・アウトドア・サバゲ・旅行。浦添市出身、青年会OB、元浦添市青年連合会副会長 。中学の頃に地元の青年会へ参加したことがきっかけで、エイサーとの縁ができる 。高校は沖縄市の高校に通うがエイサーへの興味はなく、20歳の時にビアフェスタのついでに全島エイサーを見たことで、エイサーへの興味が強くなる。エイサーへの興味から他市町村の青年会や県外のエイサー団体との交流。海外の人にもエイサーを知ってほしいとの考えで、JICA沖縄の研修生へエイサー指導を行い、沖縄のエイサーの魅力を伝えている。    

オフィス・サンジチャー

オフィス・サンジチャーは ポストモダンな社会をイメージし、 シェアしていく社会をつくろうという理念の、 架空の講座工房です。